2020年8月31日
フィリピンの代表的株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)の2020年8月末終値は5,884.18ポイントとなり、前月末と比べて0.75%下落、月間ベースで2カ月連続の下落となった。
経済再開期待があるものの、新型コロナウイルス感染拡大ピッチが高まっていること、第2四半期や上半期の企業業績発表において大幅減益や赤字転落が目立つことなどで、6,000ポイントの大台を再び割り込んだ。特に、最大銀行であるBDOユニバンクの第2四半期が45億ペソの赤字、最大のコングロマリットであるサンミゲルの第2四半期が63億ペソの赤字であったことが響いた。フィリピン初の上場不動産投資信託であるアヤラランドREIT(AREIT)が8月13日に上場されたが、取得手続き上のテクニカルな問題もあって、上場初日7.8%下落、2日間で10.7%下落したことも市場センチメントを一段と悪化させた。
ゴーストマンスともいわれる8月に、米国のナスダック総合指数が市場最高値更新やNYダウが年初来高値更新に代表されるように主要国市場の株価は堅調に推移した。それに比べ、フィリピン株式市場は全く活気に乏しい軟調な展開となった。上場銘柄数が約260と少ないうえ不動産や金融株中心で、主要国市場で反発相場を演出している有力ハイテク株や医薬・バイオ関連銘柄が見当たらないフィリピン株式市場は手掛かり難ともいえよう。
2020年年初8カ月間では、PSEiは24.71%の下落となった。世界的な新型コロナ拡大やその対策としての地域隔離措置発動などで、3月に一時4,000ポイント台まで下落した後、地域隔離措置緩和などで反発基調となり、6月と7月の大半は6,000ポイント台で推移したが、8月は5,000ポイント台での推移する日が多くなった。
8カ月間の大分類セクター別指数動向については、軒並み下落。下落率の大きい順に、金融株(-39.38%)、不動産株(-34.76%)、鉱業・石油株(-25.79%)、持株会社株(-19.65%)、工業株指数(-19.14%)、サービス業株(-3.15%)となっている。金融株が引き続き下げを主導している。
8カ月間の1日当たり平均売買額は前年同期比13%減の66億5,500万ペソであった。外国人は873億8,900万ペソの売り越しで、前年同期の約116億ペソの買い越しからは様変わりとなった。外国人の売買額シェアは48%で、前年同期のの55%から低下した。8月末のPSE時価総額は13兆3,174億ペソ、そのうち国内企業時価総額が10兆6,906億ペソであった。なおPSE算出のPSE取引所指数ベースの株価収益率(PER)は13.16倍となり、前年同期末の18.40倍、前年末の16.52倍から大幅に低下した。