2021年1月7日
世界銀行は1月5日、「世界経済見通し(GEP)」2021年1月版を発行、世界経済は2020年にマイナス4.3%を記録したとの推定を発表した。
そして、新型コロナウイルス感染症の初期ワクチンが広く普及した場合(ベースラインシナリオ)、2021年の世界経済は4%の成長が見込まれるとしている。ただし、今回の危機を封じ込め、投資拡大のための改革実行に向けて断固たる政策措置を講じない限り、回復は完全なものとはならない可能性が高いと指摘している。
ただし、短期的な見通しは依然として不確実性が極めて高く、成長にばらつきが生じることもまだあり得るとしている。感染が拡大し続け、ワクチンの展開が遅れるという下振れシナリオの場合(悲観シナリオ)、2021年の世界経済の成長率は1.6%にとどまると見ている。他方、危機の抑制に成功しワクチンが予想よりも短期間に普及するという上振れシナリオの場合(楽観シナリオ)、世界経済は5%近く成長する可能性もあるとしている。
ベースラインシナリオの場合(以下同様)、中国を含めた新興国・途上国全体のGDPは、2020年にマイナス2.6%だったが、2021年は5%の成長になると見ている。中国の成長率は2020年には2%だったが、2021年は7.9%に加速すると予想している。中国を除く新興国・途上国は、2020年にマイナス5%だったが、2021年は3.4%に回復すると予想している。
フィリピンGDP成長率については、昨年12月時点の予想が継続されている。すなわち、2020年はマイナス8.1%と推定されている。新型コロナウイルス感染問題が長引いていること、10月後半から11月にかけて台風が連続上陸、ルソン島南部中心に大きな被害をもたらしたことなどにより、大幅マイナスを余儀なくされたと見ている。
その他のASEAN諸国の2020年GDP成長率は、ベトナムが2.8%、ミャンマーが1.7%、ラオスがマイナス0.6%、インドネシアがマイナス2.2%、マレーシアがマイナス5.8%、タイがマイナス6.5%、東ティモールがマイナス6.8%と推定されており、フィリピンの落ち込みの大きさが目立つ。
今後に関しては、新型コロナウイルス対策の進展や世界経済の立ち直りを前提に、フィリピン経済は回復に向かうと予想されている。具体的には、2021年のGDP成長率が5.9%へ回復、2022年は6.0%へと小幅加速すると予想されている。