日本を離れ、外国で暮らす私たちは、フィリピン以外の国の様子も興味津々!
世界各国で生活する日本人の方々の、その国ならではの暮らしをご紹介します。
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「視察時間は1時間+売っちゃう家をデコレーション!? オーストラリア流 家の売買方法」
私は1880年代築の家に住んでいる。日本では考えられないほど古い家だ。訪問客は雰囲気があると褒めてくれるし、私も引っ越す前にはそう思っていた。ところが引っ越した後にいろいろと不便が多いことに気がついた。
雨が強い日はものすごい勢いで雨漏り。その雨がパソコンを襲撃し、キーボードがすべて水に浸っている状態になったこともあった。(その後、水を出し乾燥させたらパソコンは見事に生き返った!)壁や床の小さな穴からネズミがチョロチョロと顔を出す。(ネズミは意外と顔がカワイイことを発見)そして隙間から南風がヒューヒュー。(南半球だから日本でいう北風)夜にじっとして寝ていると冷たい南風が顔を撫でているのがよくわかる。
こちらでの家の売買はオークション形式がとられる。(が、私はいまだになぜこの方法がとられるのかよく理解できずにいる。)まず、オークションの前にその家を視察できる日が2日ほどある。大抵は週末の30分ほどだ。たったの30分×2日=1時間。これだけ短い視察では本当にその家を買いたいかどうか見極めることが難しい。さらに、オークション中であってもまだその家の持ち主が住んでいることがほとんど。趣味のいいインテリアで飾られた家は、その家の価値以上に見えてしまうこともある。つまり、持ち主の趣味が良いか悪いかで家の価格も上がったり下がったりするわけだ。
私の知り合いはオークション専用のインテリアデザイナーである。家を売りたい人が視察の日の前に自分の(趣味の悪い)家具を物置に詰め込んで隠し、インテリアデザイナーがその家の雰囲気にあったカーペット、カーテン、ソファ、絵、花などで家を飾る。その家はまるでインテリア雑誌から抜け出したような素敵な家へと姿を変え、家の価格も上がるのである。
私たちも、現在住むこの家を売る際は家具を物置きへ詰め込み、美しく飾ろうと企んでいる。しかし視察の日はネズミの訪問だけは遠慮願いたいものだ。
<コラムニスト紹介>
布子
197?年生まれ。文化服装学院卒。趣味はアンティークの布収集。2001年オーストラリア留学中に現在のパートナーと出会いメルボルンに移住。2008年にハンドメイド長財布のブランドNUNO Circleを立ち上げ現在販売拡大中。
「NUNO Circle」