JETROフィリピンは22日、外国投資認可額についての情報を発表しました。
2020年1~9月の外国投資認可額
フィリピン統計庁(PSA)は12月10日、2020年1~9月の外国資本の投資認可額(注)が前年同期比72.8%減の756億3,630万ペソ(約1,663億9,986万円、1ペソ=2.2円)だったことを発表した。
投資認可額を国別に分けると、米国の219億7,600万ペソが最大で、1~9月の認可額全体の29.1%を占める。次に中国(146億9,420万ペソ、19.4%)、英国(129億3,900万ペソ、17.1%)、シンガポール(57億1,490万ペソ、7.6%)、日本(50億9,540万ペソ、6.7%)と続く。
業種別では、1位が製造業(272億2,650万ペソ、1~9月の認可額全体の36.0%)、2位が運輸・倉庫業(234億7,500万ペソ、31.0%)、3位が管理・ビジネス支援サービス業(145億3,030万ペソ、19.2%)、4位が不動産業(38億5,480万ペソ、5.1%)となった。
投資誘致機関別の認可額は、1位がフィリピン経済特区庁(PEZA)(426億9,810万ペソ、1~9月の認可額全体の56.5%)、2位が投資委員会(BOI)(292億5,190万ペソ、38.7%)、3位がクラーク開発公社(CDC)(22億8,030万ペソ、3.0%)だった。PEZAとBOIの2機関で、認可額全体の95%強を占めている。PEZAの投資認可額は前年同期比で26.4%増加している一方、BOIの認可額は87.8%減少した。PEZAは、同庁による2020年の投資認可額が1,000億ペソを超える見込みであることを表明していた(政府通信社11月23日)。
米国、PEZAの役割を評価
1~9月の投資認可額が国別で最大の米国では、PEZAの役割を評価する見解もある。米国国務省が9月に発表した「2020 インベストメント・クライメート・ステイトメンツ」では、経済特区のビジネス環境が大きく改善している、と指摘する。特に、輸出企業に対してPEZAが良好な投資環境を提供していると、同機関を高評価する。その理由として、制度面での透明性が高いことや、いわゆる「お役所仕事」を組織として排除する方針であること、各種の許認可や税務などのワンストップサービスを提供していることを挙げる。
(注)投資認可額は、投資委員会(BOI)、クラーク開発公社(CDC)、フィリピン経済特区庁(PEZA)など、7つの投資誘致機関による認可額を合計して算出。
(吉田暁彦)