大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。
これらのトヨタ関連各社は各々存在感を強めている。特に、TMPの強さが際立っている。新車販売シェアは断トツであり、2019年まで18年連続でフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)となっている。 下表のように、個別モデル販売ランキングにおいても、常に上位を独占している。
3月31日発表のGTCAP情報説明書によると、TMPの2019年(1月~12月)のTMPの卸売ベースの販売台数は前年比(以下同様)5.1%増の16万3,493台、小売ベースの販売台数は5.9%増の16万2,011台で、業界全体の増加率2.4%を上回った。これらの結果、TMPの2019年の市場シェアは39.5%と高水準、前年の38.2%から上昇した小型セダンのヴィオス、ピックアップのハイラックス、多目的車のイノーバなどが販売台数増加に寄与した。
これらの結果、2019年の売上高は6.1%増の1,686億ペソに達した。損益面では、販売台数増加、値上げ、ペソ高効果などにより粗利益は27.2%増の211億ペソ、営業利益は24.7%増の128億ペソへと二桁増加した。帰属純利益も15.2%増の90億8,200万ペソと高水準であったが、ヴィオス旧モデルに対する優遇措置期間終了などに伴う所得税増加で、営業利益の伸び率を下回った。いずれにしても、依然として厳しい環境下で、堅調な業績推移であったといえる。
下表の様に、年間ベースの帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で急増した。そして、15年には100億ペソの大台を突破、さらに、16年、17年と続伸し、3年連続で100億ペソの大台を突破した。2018年は車両税改定という一時的要因などで減益となり100億ペソを割り込んだが、2019年は回復に転じた。
なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し今年10周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。