2021年1月4日
フィリピン銀行協会(BAP)のペソ対米ドル為替データによると、2020年12月末の終値は1米ドル=48.023ぺソで、前月末から0.037ペソ、率にして0.08%のペソ高となった。
12月の終値ベースで最もペソ高となったのは最終営業日の29日の1米ドル=48.023ペソ。輸入急減等で11月の国際総合収支の黒字額2.7倍など対外収支改善、外貨準備高最高記録連続更新、海外での新型コロナワクチン開発進展の動きなどにより、終値ベースでは、2016年9月23日の47.990ペソ以来、約4年3カ月ぶりのペソ高水準へと上昇、47ペソ台に接近した。最もペソ安となったのは、22日の1米ドル=48.095ペソだった。
2020年年間では5.44%のペソ高となっている。月間ベースでペソが下落したのは1月、2月、5月、9月であった。新型コロナ禍による米国でのゼロ金利政策復活・継続、米国の財政赤字と貿易赤字の急膨張などに伴う主要市場でのドル安の流れ波及、上記のようなフィリピンの対外収支改善などでペソ高ドル安の動きが続いた。
2021年前半は米国の双子の赤字問題が更に深刻化する一方、フィリピンの輸入も低迷が続く可能性があることなどから、ペソ高ドル安の動きが続くとの見方が増えている。ただし、フィリピンでの新型コロナ感染も高水準であること、足許の景気や企業業績が低迷していることから、ペソが一直線に上昇していくと見る向きも少ない。そして、2021年後半は、新型コロナウイルス禍のピークアウト、フィリピン国内インフラ整備加速や内需回復に伴う貿易赤字が再拡大しそうなことで緩やかなペソ安基調に転ずる可能性がある。