2021年4月14日
日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ財閥の有力食品企業ユニバーサル ロビーナ コーポレーション(PSE証券コード:URC)との合弁企業「ニッシン ユニバーサル ロビーナ コーポレーション」(ニッシンURC、1996年設立、会計期末12月、本社:マニラ首都圏ケソン市)を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。
このニッシンURCの業績が堅調に推移している。4月13日に発表されたURCの2020年アニュアルレポートによると、ニッシンURCの2020年の売上高は前年比(以下同様)17%増の74億0,600万ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は27%増の14億7,200万ペソ、純利益は25%増の8億9,300万ペソで二桁増収増益決算となった。
フィリピンにおけるカップ麺需要の拡大を背景に、近年は増収増益が続いてきているが、2020年は新型コロナウイルス感染対策としての地域隔離措置の下での外出・移動制限措置や外食事業規制(店内飲食禁止、持ち帰りと配達に限定)による家庭内食事(内食)需要や保存食需要、すなわち巣籠り需要が加わったことで、業績向上ピッチに拍車がかかった。
なお、フィリピンでの袋麺を含む即席麺のトップ企業は、「ラッキーミー」ブランドで知られるモンデ ニッシンである。社名には「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、モンデ ニッシンは現地資本企業であり、日清食品など日本企業との資本関係は全くない。
東南アジア地域は、麺食文化がもともと存在することに加え、近年の継続的な経済成長による即席麺の消費量・販売額が堅調に推移している。世界ラーメン協会(本部:大阪府池田市、事務局:東京都新宿区新宿)発表によると、フィリピンの2019年の即席麺の総需要は前年比2.3%減と成長一服ながら、38億5,000万食で世界第8位、ASEANではインドネシアとベトナムに続く第3位の市場となっている。そして、世界総需要約1,064億食のうちの3.6%を占めている。一人あたりの年間消費量は40食に近づいている。
特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「Cup Noodles」の販売は好調に推移している。そして、フィリピン即席麺全体の需要の伸びを上回る成長を続け、上記のようにニッシンURCは増収増益を続けている。