2024年1月31日
製造業1.3%と低調、個人消費5.6%へ鈍化(前年8.3%)
フィリピン統計庁(PSA)は1月31日、2023年第4四半期(10月~12月)および通年の国内総生産(GDP)など国民勘定統計を発表した。それよると、当第4四半期のフィリピンの国内総生産(GDP)実質成長率(前年同期比、以下同様)は5.6%で、前期の6.0%(改訂値)、前年同期の7.1%から鈍化した。民間エコノミストらによる直前予想コンセンサス(中間値)の5.5%に近い水準だった。
第4四半期成長率は、政府の2023年の年間目標6.0~7.0%達成に必要である7.4%には遠く及ばなかった。しかし、すでに当第4四半期のGDP成長率を発表しているアジアの国の中では、ベトナムの6.7%に次いで髙く、中国の5.2%、マレーシアの3.4%を上回っている。
セクター別成長率はサービス産業が7.4%、鉱工業が3.2%、農林水産業が1.4%といずれもプラス成長であったが、鉱工業、特に製造業の0.6%への減速が目立った。サービス業では、金融・保険業の11.8%%、卸小売業・自動車バイク修理業の5.2%などが全体の成長を支えた。農林水産業は前年同期のマイナス3%から改善した。
支出・需要面では、内需の家計最終消費支出(HFCE、個人消費)の伸び率が5.3%と堅調であったが、前年同期の7.0%からは減速した。政府最終消費支出(GFCE)は1.8%減とマイナスに転落した。一方、外需の輸出は2.6%減少、GDPのマイナス勘定となる輸入は2.9%増加した。海外からの純所得(NPI)が97.7%増と急増、国民総所得(GNI)成長率は11.1%に達した。
<2023年の年間動向>
2023年通年のGDP成長率は5.6%で、前年の7.6%という歴史的な高成長からは大幅に減速し、政府目標6.0~7.0%の下限を下回る結果となった。年間のセクター別成長率は、農林水産業が1.2%(前年0.5%)、鉱工業が3.6%(同6.5%)、サービス業が7.2%(同9.2%)。年間でも製造業の1.3%への減速が目立った。
支出・需要面では、HFCEが5.6%増(同8.3%増)、GFCEが0.4%増(同4.9%増)、総資本形成(GCF)は5.4%増(同13.8%増)となった。輸出は1.3%増(同10.9%増)、輸入は1.6%増(同13.9%増)にとどまった。主力のHFCEは堅調ではあったが、前年からは大幅減速した。海外からの純所得(NPI)が96.6%増と急増、国民総所得(GNI)成長率は10.5%(同9.9%)に達した。